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はねかずらでフラれる大伴家持
大伴宿祢家持の、童女に贈りし歌一首
はねかずら 今する妹を 夢に見て 心の内に 恋ひわたるかも
(巻4-705)
童女の来報せし歌一首
はねかずら 今する妹は なかりしも いづれの妹を そこば恋ひたる
(巻4-706)
※はねかずら:成年式の女性がつける髪飾り。
大伴宿祢家持
ようやく今、はねかずらをつけるお年頃になった愛しいあなたを、心の中で、恋続けています。
童女
今はねかずらをする年ごろの女性なんていません。
いったいどちらの愛しい女性を、そんなに恋しているのでしょうか?
古代の夢占いで、恋する相手が夢に出てくると、その相手が自分を思ってくれていると判断したらしい。
大伴家持は、それを理由(夢見を含めて真偽は不明)に童女に歌を贈るけれど、童女は「そんな女性はいません、あちこちの女性に遊び歩いている貴方の勘違いでは?いったい誰?それ」と、お見事に振っている。
あまり深刻にとらえる相聞ではなく、単なる戯れ歌の雰囲気。




