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坂上郎女 このころは
このころは 千歳や行きも 過ぎぬると 我や然思ふ 見まく欲りかも
(巻4-686)
このごろは、逢わずに千年も経ったような気がするけれど、私は実にそう思う。
それは逢いたいという気持がそう思わせるのだろうか。
恋人といる至福の時間はほんの一瞬に感じ、逢えない時間は千年のように長く感じてしまう。
逢えない時間を千年のように長いと思うのは、逢いたいと思う気持ちもあるけれど、他にもある。
特に、旅先などで離れている場合は、恋人の安全、離れた地で病気になるとか怪我をしたと聞けば、なおさらに感じると思う。




