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中臣女郎 大伴宿祢家持に贈りし歌(3)
春日山 朝居る雲の おほほしく 知らぬ人にも 恋ふるものかも
(巻4-677)
春日山の朝にかかっている雲のように、ふわふわとして本心がわからない人に、恋をしているのでしょうか。
「おほほし」は、ぼんやりとしている、はっきりしない、などの意味。
中臣女郎は、大伴家持を恋しながら、家持の心がどこにあるのか、誰にあるのかわからない。
大伴家持は、あちらこちらの女性に甘い言葉をかける男だったのだろうか。
そんな男に恋をしてしまった自分を後悔しているのか、切ない思いが歌に満ちている。




