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朝に日に
厚見王の歌一首
朝に日に 色付く山の 白雲の 思ひ過ぐべき 君にあらなくに
(巻4-668)
朝が来るたびに 日が過ぎるたびに 美しく色付いて来る山に浮かぶ白雲のように、恋しい思いが消えてしまうような貴方ではないのです。
逢うたびに美しく見える女性なのだろうか。
とても恋しい思いを消すことができるような貴方ではありません。
よほど美しかったのか、それとも宴席での戯れ歌か、それは不明。
歌の中の言葉の流れが、実に美しい。
相聞歌の教科書のようなもの。
こんな言葉をかけられた女性は、照れるのか、うれしいのか、「御冗談を」と受け流すのか、想像するだけでも面白い。




