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佐保渡り 我家の上に
安都宿祢年足の歌一首
佐保渡り 我家の上に 鳴く鳥の 声なつかしき 愛しき妻の児
(巻4-663)
佐保川を渡り、我が家の上で鳴く鳥にように、その声が懐かしいわが愛しき若い妻。
安都宿祢年足は未詳の人物。
平城京の佐保川の付近に家があったと思われる。
妻の児という表現は、子供のように若々しい妻という意味と理解できる。
となると、新婚の時期なのかもしれない。
とにかく妻が好きで仕方が無い。
美しい鳥の声のように、妻の声も美しい。
それを思いだして、帰宅後の愛の交歓を思い、仕事に励んだのだろうか。
自然な甘さに満ちた、妻恋の歌と思う。




