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山口女王 相思はぬ 人をやもとな
相思はぬ 人をやもとな 白たへの 袖ひつまでに 音のみし泣かも
(巻4-614)
私のことなど見向きもしない人を想い、どうしたらいいのかわからなくて、袖が濡れるほどに、声をあげて泣くことになるのでしょうか・・・
※白たへの:袖にかかる枕詞。
※もとな:かいもなく、どうしようもなく。
振り向いてくれない片思いの恋人、振り向かせる方法もみつからない。
自分に魅力がないのか、自分も引いてしまうような恋敵がいるのか、いずれにせよ、相手にもされないので、恥じらいもなく声をあげてまで、泣くことになる。
「泣かも」と、泣くことになるのでしょうかと、詠んでおきながら、すでに泣いているのだと思う。




