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山口女王 物思ふと人に見えじと
物思ふと 人に見えじと なまじひに 常に思へり ありそかねつる
(巻4-613)
物思いを他人には知られないようにと、心を偽って無理に平気な顔をしています。
でも、いてもたってもいられないほどなのです。
山口女王(伝未詳)が、大伴家持に贈った歌五首の冒頭。
なまじひは、できもしないのに無理をして、の意味。
他人には知られたくない恋心があり、隠し通さなければならない苦しさ。
秘めなければならない恋心は、やはり苦しい。
せめて、歌のみに、その心を託すことになる。




