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万葉恋歌  作者: 舞夢
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笠女郎 衣手を打廻の里に

衣手を 打廻の里に ある我を 知らにそ人は 待てど来ずける

                       (巻4-589)


※衣手:布を砧で打つことから「打廻」にかかる枕詞。

※打廻の里:明日香川を廻る里で、奈良県明日香村の雷丘付近。


貴方は、私が打廻の里にいることを知らないので、貴方をずっと待っていたのですが、来てくれなかったのですね。


当時、大伴家持は奈良の佐保山の屋敷にいたものと思われている。

そして、笠女郎は、旧都の明日香村にいる。

家持には、それを伝えてはいない。

だから、ずっと待っていても来なかったのですね、と一人納得する。



さて、自問自答のような歌とも思う。

大伴家持の気持ちは、実は笠女郎から離れかけていたのかもしれない。

男は、本当に好きな女であれば、なんとしても探し当てるものだから。


また、笠女郎も、それをしない大伴家持に不安を覚えた。

だから、「来ないのは、私の居場所がわからないから」と、懸命に自分を納得させる。


打廻の里にいることは、実は家持の衣を打っていたのかもしれない。

古来、衣を打ながら夫の帰りを待つのは、妻の務めでもあったようだ。

夫が来ないのに、訪れがないのに、衣を打ち続ける妻。

その打つ音、一つ一つに、待つ女の愛と、寂しさがこもる。

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