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今よりは城山の道はさぶしけむ
太宰帥大伴卿の京に上りし後に、筑後守葛井連大成の悲嘆して作りし歌一首
今よりは 城山の道は さぶしけむ 我が通はむと 思ひしものを
(巻4-575)
太宰帥大伴卿が上京後に、筑後守葛井連大成が悲嘆して詠んだ歌一首。
これからは、城山の道は寂しくなることでしょう、私はずっと通おうと思っていましたので。
筑後守葛井連大成は天平2年(730)正月の梅花の宴に列席した官人。
城山は大宰府のすぐ真南。
白水江の敗戦後、その地に城が築かれたことにより、その地名となった。
尚、現在は「基山」
筑後守葛井連大成は、築後国府から、この山を通って大宰府に通ったと推察される。
その楽しみとしては、大伴旅人卿との歌のやり取りや、語らいなど。
それが無くなってしまうのだから、実に寂しい旅路に変化してしまう。
葛井大成の本音が、よくあらわれた歌と思う。