二月、式部大輔中臣清麻呂朝臣の宅に於て宴せし歌十五首(6)
君が家の 池の白波 磯に寄せ しばしば見とも 飽かぬ君かも
(巻20-4503)
右の一首は、右中弁大伴宿祢家持。
愛しと 我が思ふ君は いや日異に 来ませ我が背子 絶ゆる日なしに
(巻20-4504)
右の一首は、主人中臣清麻呂朝臣。
磯の浦に 常よ引き住む 鷲鴦の 惜しき我が身に 君がまにまに
(巻20-4505)
右の一首は、治部少輔大原今城真人。
あなたのお家のお庭の池の白波が、磯に寄せる様子をずっと眺めていて、見飽きることがないのと同じで、あなたも、いつまでも見飽きないお方と思っています。
愛おしいと私が慕うあなたたちは、毎日でも来てください、来ない日などあってはいけません。
お庭の磯の陰に、いつも住み着いている鴛鴦のように、惜しい我が身ではありますが、仰せの通りにいたします。
家持が再び、宴会の主人(家を含めて)を褒め、変わらぬ愛情を詠む。
主人中臣清麻呂朝臣は、全員に毎日でも、来て欲しい、その意味を詠む。
最後に、輔大原今城真人が、納め歌として、鴛鴦のように、惜しい(取るに足らない私も)、毎日でも参上しますと締めて終わる。
典型的な宴会歌で、実にわかりやすい。
(現代の宴会でも、似たようなやり取りは多いと思う)




