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二月、式部大輔中臣清麻呂朝臣の宅に於て宴せし歌十五首(1)
二月、式部大輔中臣清麻呂朝臣の宅に於て宴せし歌十五首
※二月:天平宝字(758)二年二月(太陽暦の3月14日~22日頃)
※式部大輔:式部省(文官の人事、養成、行賞を所管する)の次官。
※宴会そのものは、仲間うちの、気楽なもの。歌も、戯れのような気楽さにあふれている。
恨めしく 君はもあるか やどの梅の 散りすぐまでに 見しめずありける
(巻20-4496)
右の一首は、治部少輔大原今城真人
見むと言はば いなと言はめや 梅の花 散りすぐるまで 君が来まさぬ
(巻20-4497)
右の一首は、主人中臣清麻呂朝臣
あなたと言う人は、恨めしい人と思いますよ。
お庭の梅が、散り過ぎてしまうまで、見せていただけなかったとは。
あなたのほうこそ、見たいと言っていただけたら、と思うのです。
お断りなどいたしません。
梅の花が、こんなに散り過ぎてしまうまで、あなたが。お越しにならなかっただけのことですから。




