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うちなびく 春とも著(しる)く うぐひすは
六日、内庭に仮に樹木を植え、以って林帷と作して、肆宴を為したまひし歌
※七日に行われるべき青馬の節会が、七日に仁王会が行われることになり、急遽6日に繰り上げとなった。そのため、前もって詠んだ歌。(ただし、発表の機会はなかった)(理由は不明)(当時の権力者、内相藤原仲麻呂が、大伴家持を嫌悪していたのかもしれない)
うちなびく 春とも著く うぐひすは 植木の木間を 鳴き渡るらむ
(巻20-4495)
右の一首は、右中弁大伴宿祢家持。奏せず。
草木が元気にうちなびく春を、さらに盛り立てるように、うぐいすは、植木の間を飛び回って鳴いて欲しい。
歌としては、実に素晴らしい春の宴会歌。
しかし、どれほど準備してあっても、大伴家持は、帝の前で発表する機会を与えられない。




