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病に臥して無常を悲しみ、道を修めむと欲ひて作る歌二首
病に臥して無常を悲しみ、道を修めむと欲ひて作る歌二首
※病に臥して:大伴家持の精神的落ち込みらしい。具体的病名はわからない。
うつせみは 数なき身なり 山川の さやけき見つつ 道を尋ねな
(巻20-4468)
渡る日の 影に競ひて 尋ねてな 清きその道 またもあはむため
(巻20-4469)
この私も、この世にいる人間の一人である以上、(先の知れない)どこにでもいる、ただの人と同じなのです。(それを思うと)山や川の澄んだ世界を眺めながら、清らかな道を尋ねてみたいものです。
大空を渡って行く太陽の光の影に遅れることなく、尋ねてみたいものです。清らかな人間修養の道を。またの世で、再び出会うために。
敬愛していた聖武天皇が崩御され、家持もショックを受けたようだ。
仏教好きの聖武天皇に合わせて、無常観に関わる歌を詠んでいる。




