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足柄の 八重山越えて いましなば
上総国の朝集使大掾大原真人今城の京に向かひし時に、郡司の妻女の餞せし歌二首
足柄の 八重山越えて いましなば 誰れを君かと 見つつ偲はむ
(巻20-4440)
立ちしなふ 君が姿を 忘れずば 世の限りにや 恋ひわたりなむ
(巻20-4441)
大原真人今城が朝集使として、上総を出発する際の宴会などで、郡司の妻たちが詠んだ歌。
足柄の八重に重なる山を越えて行ってしまったなら、いったい誰を貴方と思ってお慕いすればいいのでしょうか。
しなやかで美しい貴方のお姿を忘れてしまわない限り、いつまでも、恋慕うことになるでしょう。
大原真人今城が美男説があるけれど、確かではない。
送別する人への、リップサービスかもしれない。




