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ほととぎす なほも鳴かなむ 本つ人
先太上天皇の御製 霍公鳥の歌一首
※先太上天皇:元正天皇。
ほととぎす なほも鳴かなむ 本つ人 懸けつつもとな 我を音し泣くも
(巻20-4437)
薩妙観、詔に応へて和し奉りし歌一首
※薩妙観:内命婦(五位以上の位をもつ高位の女性)。薩は渡来人。
ほととぎす ここに近くを 来鳴きてよ 過ぎなむ後に 験あらめやも
(巻20-4438)
ほととぎすは、そうせ鳴くならもっと大きな声で鳴きなさい。
想いに残るあの人を、思い出させるように鳴いて、この私まで声をあげさせて泣かせるのだから。
ほととぎすは、もっと近くに来て鳴きなさい。
この時を過ぎてしまったら、何の甲斐もありません。
元正天皇(先の上皇)の想い人は、母の元明天皇か。
内命婦薩妙観は、元正天皇(先の上皇)の詔を受けて、ほととぎす(懐古にちなむ鳥)の歌を詠む。




