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闇の夜の 行く先知らず 行く我を
昔年に相替はりし防人の歌一首
闇の夜の 行く先知らず 行く我を いつ来まさむと 問ひし子らはも
(巻20-4436)
闇の夜に、行先も知らないで出ていく私に、「いつ帰って来るの」と聞いて来た子供たちは、今どうなっているのだろうか。
相替わりし防人なので、任務交替時(故郷に帰る時かもしれない)に詠んだ歌。
やはり何より、故郷に残して来た、我が子を案じる。
生きているか、病気をしていないか、今のようにスマホなどない。
故郷に戻るまで、子供たちの顔を見るまでは、防人の心は、闇夜を歩く人である。




