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昔日の防人の歌(3)
家の妹ろ 我を偲ぶらし 真結びに 結し紐の 解くらく思へば
(巻20-4427)
我が背なを 筑紫は遣りて 美しみ えひは解かなな あやにかも寝む
(巻20-4428)
※えひは解かなな:「えひ」は「結び」の訛り。
家で待つ、可愛い妻が、旅に出た私のことを寂しがっているようです。しっかり結んだ紐が解けてきていることを思うと。
私の夫を、筑紫に送り出してしまったけれど、私の着物の紐は、解かないでおこう、寂しくて心配し続ける独り寝になるだろうけれど。
二首とも、紐に関係する歌。
人に思われるよ、「自分の衣の、紐が解ける」、そんな俗信があったようだ。




