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家ろには 葦火焚けども 住みよけを
家ろには 葦火焚けども 住みよけを 筑紫に至りて 恋しけ思はむ
(巻20-4419)
右の一首は、橘樹の郡の上丁物部真根。
※橘樹の郡:川崎市と横浜市北部一帯。
※物部真根:伝未詳。
私の家は、葦火を焚くような貧乏な家でありますが。それでも幸せな、住みよい家でソした。これから筑紫に着けば、さぞかし、恋しく思うことでしょう。
普通の木材で火を焚けないような貧しい暮らしであっても、家族と一緒のほうが、幸せである。
本音を詠んでいる名歌と思う。
草枕 旅の丸寝の 紐絶えば 我が手と付けろ これの張針持し
(巻20-4420)
右の一首は、妻の椋埼部弟女。
長い旅のごろ寝で、着物の紐がちぎれてしまったならば、この針を持って、私の手と思って、再び縫い付けなさい。
 




