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我が門の 片山椿 まこと汝れ
我が門の 片山椿 まこと汝れ 我が手触れなな 地に落ちもかも
(巻20-4418)
右の一首は、荏原の郡の上丁物部広足。
私の家の門前の片山椿は、本当にお前は、私がいなくなって何もしなければ、そのまま地に落ちてしまうかもしれない。
「片山椿」は、自分の妻と思われる。
防人として、留守中に、他の男に「寝取られてしまう」ことへの懸念を詠む。
ただ、家で待つ妻としては、一応心変わりをしない気持を夫に伝えたとしても、その夫は防人なので、最低3年は帰って来ない。
生きて帰って来るかどうかも、当てにならない。
あてにならない夫よりは、親切で立派な男になびいたほうが、生きていくうえで得策なのだと思う。




