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白玉を 手に取り持して 見るのすも
白玉を 手に取り持して 見るのすも 家なる妹を また見てももや
(巻20-4415)
右の一首は、主帳荏原の郡の物部歳徳。
草枕 旅行く背なが 丸寝せば 家なる我は 紐解かず寝む
(巻20-4416)
右の一首は、妻の椋橋物部刀自売。
白玉を手に持って、心ゆくまで愛でるように、家に残した妻を、何度も心ゆくまで愛でたいと思うのです。
旅に出た愛しい夫が、衣を着たまま眠るしかないのなら、家に残った私も、紐を解かないで寝ようと思います。
荏原の郡は、品川、目黒、世田谷の一帯。
そこに住む夫婦の歌。
情愛のこもった、健気な応答の歌。
心にしみるものがある。




