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日な曇り 碓氷の坂を 越えしだに
日な曇り 碓氷の坂を 越えしだに 妹が恋しく 忘らえぬかも
(巻20-4407)
※日な曇り:「碓氷」にかかる枕詞。薄暗い碓氷峠を暗示する。
※碓氷の坂:碓氷峠。群馬県安中市松井田町坂本と長野県北佐久郡軽井沢町との境にある峠。東山道最大の難所。
※越えしだに:越えしなに。
右の一首は、他田部子磐前。※伝未詳。
薄暗く進みのも困難な碓氷の坂を懸命に歩いて越えているけれど、妻が恋しくて、忘れたくても、忘れられないのです。
難所の碓氷峠、愛しい妻の顔を思い出すことだけが、心の支えだったのかもしれない。




