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旅とへど 真旅になりぬ 家の妹が
旅とへど 真旅になりぬ 家の妹が 着せし衣に 垢つきにかり
(巻20-4388)
右の一首は、占部虫麻呂。※おそらく千葉の郡出身。占部虫麻呂は伝未詳。
ただの旅と言うけれど、実に長い旅になってしまった。
家の愛しい妻が着せてくれた衣は、今では、すっかり垢まみれになっている。
作者としては、ここまで長い旅になる覚悟を持ち合わせていなかった。
洗濯も時々はしたけれど、それ以上に汗が出て、垢も落ちず、臭いも落ちないのかもしれない。
しかし、愛する妻が着せてくれた衣である。
簡単に捨てて、新しい衣を着ることはできない。




