1313/1385
難波津のを 漕ぎ出て見れば 神さぶる
難波津のを 漕ぎ出て見れば 神さぶる 生駒高嶺に 雲そたなびく
(巻20-4380)
右の一首は、梁田郡の上丁太田部三成。
※梁田郡:栃木県足利市北西部から群馬県桐生市の一部を含む。
※上丁太田部三成:伝未詳。
難波津から漕ぎ出して振り返って見ると、神々しい生駒の高い山に、雲ふぁたなびいています。
国々の 防人集ひ 船乗りて 別るを見れば いともすべなし
(巻20-4381)
右の一首は、河内郡の上丁神麻続部島麻呂。
※河内郡:栃木県宇都宮市と河内郡の一帯。
※上丁神麻続部島麻呂:伝未詳。
様々な国々から、防人が集って、船に乗って、いよいよ離れ離れに分かれて出港していく様子を見ていると、いよいよ、どうにもならない、そんな気持ちになりました。
二首とも、そのまま理解できるような素直な歌。
それだからこそ、味わいもあるし、歌を詠んだ人と、千年以上経つのに、心が通じるような思いになる。




