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天地の 神を祈りて さつ矢貫き
天地の 神を祈りて さつ矢貫き 筑紫の島を さして行く我は
(巻20-4374)
※さつ矢:「さつ矢」は、狩猟用の矢。ここでは戦争用の矢。軍防令では、防人一人ごとに、50隻を靫にさして携行する旨定められていた。
右の一首は、火長太田部荒耳。
※太田部は、朝廷直轄の屯田の仕事をする民。荒耳は伝未詳。
天地の神に祈り、矢を靫にさし、筑紫の島を目指して私は進んで行くのです。
門出の決意を詠んだとされている。
故郷についての思いは詠んでいない。
戦闘決意を詠んでいるので、防人としての模範歌(軍歌)かもしれない。




