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今日よりは かへり見なくて 大君の
今日よりは かへり見なくて 大君の 醜の御盾と 出で立つ我は
(巻20-4373)
※醜の御盾:防人として謙遜する表現。「至らぬ新人兵」のような意味。
右の一首は、火長今奉部与曾布。
※火長:軍防令に定められている。兵士10人を一火として、その長。
※今奉部与曾布:下野の国、伝未詳。
今日からは、(故郷や、故郷の人々)をかえりみることはせずに、大君の醜の御盾として、私は、出発していこうと思います。
兵士10人の長として、門出の決意を詠んでいる。
故郷への思いや、先々の不安を詠む歌が多いので、珍しく積極的な歌。
10人の兵士の長として、意気を鼓舞する目的があったのかもしれない。




