1299/1385
難波津に 御船下ろ据ゑ 八十楫貫き
難波津に 御船下ろ据ゑ 八十楫貫き 今は漕ぎぬと 妹に告げこそ
(巻20-4363)
防人に 立たむ騒きに 家の妹が なるべきことを 言はず来ぬかも
(巻20-4364)
右の二首は、茨城の郡の若舎人部廣足。
※茨城の郡:茨城県新治郡から西茨城群、東茨城群の一帯。
※若舎人部廣足:伝未詳。
難波津に、御船を降ろし据え、数多くの楫を通した。
今、まさに筑紫に向かって漕ぎ出すと、故郷の妻に伝えて欲しいのです。
防人の旅への出発する、慌ただしい大騒ぎの中で、家の妻に、なすべきことを告げずに来てしまったかもしれません。
「家の妻に、なすべきことを告げず」は、農事関係との説がある。
やはり、防人として不在(原則3年)、農業も不安になる。




