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家風は 日に日に吹けど 我妹子が
家風は 日に日に吹けど 我妹子が 家言持ぢて 来る人もなし
(巻20-4353)
右の一首は、朝夷の郡の上丁丸子連大歳。
※朝夷の郡:千葉県安房郡南東部。
※丸子連大歳:伝未詳。
家の方角から、風は毎日のように吹いて来るのですが、愛しい彼女からの手紙を持って来る人は、いないのです。
防人の道、途上での寂しい思いを詠む。
いわば、ホームシック。
愛しい彼女からの手紙が何も来ないとなると、自分への愛情も疑ってしまう。
愛らしい娘であればるほど、言い寄る男も多いのだから。
だからと言って故郷に戻ることもできず、寂しさと疑心暗鬼の中、辛い旅を続けることになる。




