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庭中の 阿須波の神に 小柴さし
庭中の 阿須波の神に 小柴さし 我は斎はむ 帰り来るまで
(巻20-4350)
※阿須波の神:穀物の神大年神の子(古事記)。延喜式の祈年祭6月月次に見える農業神。屋敷神として祀る場合がある。
※小柴さし:「小柴」は神の招き代としてさす木の枝。
右の一首は、蝶丁若麻部諸人。:伝未詳。
二種の解釈がある。
(防人本人が詠んだ場合)
庭の中に鎮座されておられます阿須波の神に、小柴を挿し、私は斎い、出発します。無事に帰って来るまで、この清い心を忘れません。
(家族の誰かが詠んだ場合:父母などの記載がかけてしまった)
庭の中に鎮座されておられます阿須波の神に、小柴を挿し、私は斎います。防人の彼が無事に帰って来るまで。




