1283/1385
橘の 美袁利の里に 父を置きて
橘の 美袁利の里に 父を置きて 道の長道は 行きかてのかも
(巻20-4342)
※橘の美袁利の里:所在不明。ただ、静岡市清水区に小島町立花という地名があるので、推定する説もある。
右の一首は、丈部足麻呂。:伝未詳。
橘の美袁利の里に父を残して、この長い道のりは、実に行き進むのが辛いのです。
素朴であるが、残したのが父だけなので、おそらく母は死別の可能性がある。
一人だけで父を残すのが辛い、長い道のりも辛い。
しかし、防人を拒めば、絞首刑。
父も恥ずかしい思いをするので、その後の生活も不安。
それを考えると、防人も罪作りな仕事である。




