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天平勝宝七歳乙未の二月に相替はりて筑紫に遣はされし諸国の防人等の歌(2)
わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて よにわすれられず
(巻20-4322)
右の一首は主帳丁麁玉の若倭部身麻呂
私の愛しい妻は、防人として旅に出た私を、本当に恋しく思っているのだろう。
飲む水にまで、その影を見せて、とても忘れることはできないのだから。
筑紫に向けての行軍途上の歌。
「主帳丁」は、主帳の家から出た防人。防人集団の中で、事務、経理を担当する。
「麁玉」は、静岡県浜松市(旧浜北市地域)
「若倭部身麻呂」は、伝未詳。




