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天雲の 行き帰りなむ ものゆゑに
大納言藤原の家にして入唐使等を餞して宴せし日の歌一首。即ち主人卿の作りしものなり。
※大納言藤原の家:天平勝宝元年(749)七月に大納言となった藤原時仲麻呂邸。藤原南家の祖武智麻呂の子で、入唐大使清河のいとこ。
天雲の 行き帰りなむ ものゆゑに 思ひぞ我がする 別れ悲しみ
(巻19-4241)
※天雲の:「行き帰り」にかかる枕詞。
唐に行ったとしても、帰って来るとは思います。しかし、私は辛いのです。
貴方と、このまま別れてしまうことが悲しいのです。
※この歌の通りになった。
清河は唐で客死、仲麻呂は乱を起こして処刑された。




