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妹が袖 我枕かむ 川の瀬に
あらかじめ作りし七夕の歌一首
妹が袖 我枕かむ 川の瀬に 霧立ち渡れ さ夜ふけぬとに
(巻19-4163)
愛しい妻の袖を枕に寝ようと思う。
天の川の瀬には、霧が何も見えなくなるほどに立ちわたって欲しい。
夜が深くなる前に。
一年に一度だけの短い逢瀬。
彦星は、少しでも早く、織姫と逢瀬を果たし、立ち込める霧に紛れて、心置きなく愛し合いたいと願う。
七夕の夜は、本来晴れ渡って欲しい(自分が織姫と逢うまでは)
ただ、逢ってからは、他人に余計な邪魔をされたくない、だから霧は、早く立ち込めて欲しい。
これも遠距離恋愛をした人には、特にわかりやすい歌と思う。




