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秋の田の
草嬢の歌一首
秋の田の 穂田の刈りばかは 寄り合はば そこもか人の 我を言なさむ
(巻4-512)
秋の田の稲穂の刈り取りの場で、貴方と寄り添ったりしたのなら、それも他人の噂になってしまうのでしょうか。
草嬢は、草刈りをする娘。
また、当時の稲刈りは、穂の部分だけを刈り取った。
「はか」は一人あたりの仕事の範囲。
「こんな人目につくところで、貴方と抱き合ったりしたら、噂になってしまうかなあ」
うれしいような、恥ずかしいような、人の噂を気にするような、甘酸っぱい感覚。
おそらく、かなり若い娘が詠んだのだと思う、歌そのものに、初々しさがある。
その後、どうなったのだろうか。
気にするのも野暮なので、不問とする。