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太上天皇の、難波の宮に御在しし時の歌七首(1)
太上天皇の、難波の宮に御在しし時の歌七首 清足姫天皇なり
※太上天皇:退位後の元正天皇(清足姫天皇)。諱は氷高皇女。草壁皇子と元明天皇の子。文武天皇の姉、聖武天皇の叔母、生涯独身。橘諸兄を重用した。
堀江には 玉敷かましを 大君を 御船漕がむと かねて知りせば
(巻18-4056)
御製歌一首 和せしものなり
玉敷かず 君が悔いて言ふ 堀江には 玉敷き満てて 継ぎて通はむ
右の二首の件の歌は、御船の江をさかのぼり遊宴するに。左大臣の奏せしものと御製なり。
太上天皇(元正)が難波の宮におられた時の歌七首。
堀江には、玉を敷いておくべきでした。
我が君が、ここで御船を召されて、お遊びになられることを、前もって知っていたならば。(左大臣橘諸兄)
元正上皇が和した歌。
玉を敷かなかったことを、貴方が悔やむこの堀江には、この私が玉を一面に敷き詰めて、通い続けることにしましょう。




