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『転生したらRPGの主人公でした』  作者: 新米オッさん兵士


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第10章 親友と始める、歪んだ協力関係

中央広場で俺がタカシの胸ぐらを掴んだまま絶叫してから、数分が経っていた。

タカシは眼鏡を直しながら、地面に座り込んだままニヤニヤ笑っている。

この状況を楽しんでいるのが丸わかりで、余計に腹が立つ。

「おいユウタ、落ち着けって。

俺が悪いのは認めるよ。ほんと、ごめん。

でもさ、お前が主人公で操作感が神すぎて……つい夢中になっちゃってさ。」

「夢中になって山を削るなよ!!

お前が『Brave New World Online』を建築サーバー扱いしてたせいで、

俺は毎日木材と石の運び屋だったんだぞ!

親友のくせに、友情ポイントゼロだろそれ!!」

俺はタカシの肩をもう一度ガシッと掴み、

全力で毒を吐いた。

タカシは笑いながら手を挙げて降参のポーズを取った。

「わかった、わかった。

じゃあ罰として、俺が今からお前の代わりに働くよ。

木材運びでも石運びでも何でも言え。

その代わり……一緒に魔王倒そうぜ。

クリアしたら、俺たち現実に戻れるみたいだから。」

「……は?」

俺は一瞬固まった。

タカシは立ち上がり、周囲の巨大要塞を見回しながら説明した。

「引きずり込まれた瞬間に、なんかシステムメッセージが頭に流れてきたんだ。

『プレイヤーと主人公のセッションが統合されました。

魔王を討伐し、ゲームをクリアすることで現実への帰還が可能』……ってさ。

つまり、俺とお前が協力してクリアしないと、

二人ともここに閉じ込められたままなんだよ。」

俺は頭を抱えた。

「はぁ……なんでそんな都合のいい設定なんだよ。

お前が引きずり込まれたせいで、俺までクリア必須になっちゃったじゃねえか……

親友の呪いかよ、これ。」

タカシは笑いながら俺の肩を叩いた。

「まあ、いいじゃん。

昔みたいに二人でゲームクリアしようぜ。

俺の建築知識とお前のチートスキル、合わせたら最強だろ?」

「……くそ。

わかったよ。

でも、まずはお前の罪を償え。

今すぐ、木材を5000本集めてこい。

お前が俺にやらせてた分、まずはこれくらいな。」

タカシの顔が引きつった。

「マジかよ……5000本!?

俺、プレイヤーだった頃はコマンド一発でやらせてたのに……」

「今はお前が労働側だ。

文句言うなら、もっと増やすぞ?」

俺はニヤリと笑って、タカシに斧を突きつけた。

タカシはため息をつきながら斧を受け取り、

森の方へ歩き始めた。

俺は後ろから監視するようについていく。

森についてすぐ、タカシが木に向かって斧を振り下ろした。

一撃、二撃……三撃目でようやく木が倒れた。

「うわ、重っ……これマジで大変じゃん!

ユウタ、毎日これやってたのかよ……」

「そうだよ。

お前が『もっと効率的に!』ってコマンド連打してたから、

俺は休みなくやってたんだ。

どうだ? リアルに体験すると違うだろ?」

タカシは汗を拭きながら笑った。

「違うわ……マジでごめん。

でもさ、ユウタ。お前、抵抗してる時の顔、結構楽しそうだったぞ?

『プレイヤー許さねえ!』って全力で叫んでた時、俺、画面の向こうで大笑いしてたんだぜ。」

「笑うなよ!!

うわあああああ!! 余計に腹立つ!!!」

俺はタカシの背中を軽く蹴りながらも、

内心では少しだけ笑っていた。

昔、二人でゲームを徹夜でやっていた頃を思い出す。

俺が死んだ後、タカシが一人でこのゲームをやり込んでいたという事実は、

少しだけ胸が熱くなった。

でも、絶対に口には出さない。

出したらタカシが調子に乗る。

三時間後。

タカシはへろへろになりながら、ようやく木材1200本ほどをインベントリに詰め込んで戻ってきた。

「ユウタ……もう限界……

俺、プレイヤー時代に回復アイテム連打してたの、悪かった……

マジでごめん……」

「まだ1200本かよ。

足りねえな。

もう一回行ってこい。」

「鬼かよお前!!」

タカシが絶叫した瞬間、俺も思わず笑ってしまった。

「ははっ……まあ、いいよ。

今日はここまでで許してやる。

明日から本気で魔王討伐の準備を始める。

お前が作ったこの巨大要塞、せめて魔王攻略の拠点として活用してやるからな。」

タカシは地面に座り込み、ニヤリと笑った。

「了解。

俺の建築テクで、最強の移動要塞に改造してやるよ。

魔王城の周りをぐるっと囲んで、

一気に総攻撃だ。

制作チームが想定してない方法でクリアしようぜ。」

俺はため息をつきながらも、頷いた。

「まあ……お前の変態建築が、

今回ばかりは役に立つかもしれないな。

でも、絶対に『木材集め』は俺じゃなくてお前がメインでやるからな。

それが罰だ。」

「わかったよ、親友。」

タカシが手を差し出してきた。

俺は一瞬迷ってから、その手を握り返した。

「……まあ、久しぶりに一緒にゲームやるのも、悪くないかもな。」

その夜。

俺たちは要塞の塔の上で、星空を見ながら昔話に花を咲かせた。

喧嘩と毒と笑いが交互に訪れ、

時々全力絶叫が響く。

『Brave New World Online』の世界は、

これまでで一番カオスで、

一番賑やかな夜を迎えていた。

明日から本格的な魔王討伐の旅が始まる。

親友同士の、ねじれた協力関係による、

制作側が絶対に想定していなかったクリアルートが、

静かに幕を開けようとしていた。

第10章 終わり

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