魔法獲得!
『カナメ、これ。』
アテネは自分のスカートのポケットの中から1枚の紙を取り出した。
「まさかこれって...」
『そうよ!あなたが帰ってくるまでの間に道具屋で買ってきた魔法紙よ、これでやっと属性がわかるわね!』
アテネ...なんていい奴なんだお前...
「やったー!これでやっと俺も魔法デビューできるわけだな!」
『ええ、まず魔法紙の上に手を置きなさい。そのまま力を籠めたら紙の色が変わるわ!』
『属性が炎なら赤、水なら青そして風なら緑という風に属性にちなんだ色になるの』
「なるほど...じゃあさっそく!」
俺が望むのは炎の赤一択だ!いくぞ...
「はっ!」
思いっ切り魔法紙に力を籠めた...
「お、おいアテネ...力を籠めたはずなのに魔法紙の色が変わらないぞ、これってまさか...」
『おめでとうカナメ!あなたの属性は無属性よ、これから私のサポートよろしくね!』
噓だ...噓だ!噓だ!噓だ!
これから世界を救わないといけない俺がよりによってエンハンスがメインの無属性なんて!
「終わった...俺の異世界俺TUEEEライフの夢が終わった...」
『何言ってるか分からないけど無属性はかなり便利な属性なのよ!ほら、回復もできるし味方だけじゃなく自分自身にも攻撃強化や防御強化のエンハンスがかけられるから地味だけどかなり強いのよ!』
「ああそうだな...地味だけど強いもんな、地味だけど。」
『そうよ!ところで最初に覚える魔法は何にするの?自分のステータスの下に魔法の選択があるでしょ?』
ああ本当だ、ステータス欄の下に4つの魔法がのってある。
「どれどれ、1つ目は攻撃強化Lv。1、2つ目は防御強化Lv.1、3つ目はヒールLv.1、4つ目はフェルトLv.1だ。1,2,3はわかるんだがこの”フェルト”っていうのはなんなんだ?」
『ああそれね、フェルトというのは弓矢などにその魔法をかけることで発射した時に弾が2倍に
なるの、もっとレベルを上げたら3倍、4倍のも増やすことができるみたいだけど...』
「決めた!俺このフェルトっていう魔法にする。」
『噓でしょ!?それなら攻撃強化をレベルアップさせて一発打ち込んだ方が強いんじゃない?それにあなたは弓なんて使えないでしょ?』
「いいんだ、俺はこの魔法に決めたんだ」
『そう、ならわかったわ。近くの村に行って武器を買いましょう』
っということで近くの村の武器屋に来た。
「うわー色々あるな迷う」
「どんな武器をお探しで?」
店の人が話しかけてくれた。
「なるほど弓ですか、ならこれはどうだい?」
そう言って店員が差し出したのは所々金属で固定してある木製のクロスボウだった。
「これでお願いします!」 無論即答、クロスボウって男のロマンだよね。
「銀貨1枚と銅貨500枚だがいいかね?」
今の有り金の役半分程だったが迷わず買った。
『いい買い物をしたわね』
「ああ、早く試し打ちしてみたいぜ!」
『言ってるそばからあそこに手ごろなストレイボアがいるわ』
手ごろって、まだ1回も1人で倒したことがないんだぞ。
「まあいい、今の俺の力を見せてやる!」
「フェルト!!」 ドドッ
1発の矢が魔法を唱えると2発に増えてストレイボア目掛けて飛んで行った。
1発は腹に、もう1発は右目に刺さりストレイボアはうなり声を上げて息絶えた。
「やった、やったぞ!初めてストレイボアを1人で倒せた!」
『やったわね!あなたクロスボウ向いてるわよ!』
「だな!しかもほら!俺のステータス欄見てみろよ」
『噓、もうLv.2に上がってるじゃない』
「いやーやっぱり経験値5倍は違うよな、」
『さすがね、遊び人も侮れないわ』
「よし!このままどんどん魔物を倒して”王都エルホワール”を目指すぞ!」
そして俺たちの旅はまだまだ続く。
第9話ご覧いただきありがとうございます!
クロスボウは男のロマンですよね!なんせかっこいい!
ではまた第10話で。