夜と過去 1
優しい文章なんて書く気はないし、誰かの代弁をする気もないし、お前なんて微塵も救う気は無い。何度も言うけど死にたきゃ死ね。お前は永遠に独りだし誰も救えないし誰も救ってくれない。
ただ、それでも必死で悪足掻きしたくて、一度くらい暴れてみたくて、血を吐くまで好き放題叫んでみたいってやつがいるなら、死にたくて死にたくて「明日はほんの少しでいいからいいことがありますように」なんて思ってるやつがいるなら、もう涙も枯れて息もできないなんてやつがいるなら、そういう人に、「お前と似たような奴はここにいる」と、伝えてあげたい。いるだけだ。意味はない。だからなんだ、と思ってもらって結構。でも、お前は何も悪くないと本気で思ってるやつがここにいる。過去も後悔も現実も人間も自分も、大嫌いで大嫌いで、呆れるくらいに何も諦められないやつがここにいる。
何をしたとか、経歴とか、もうぶっ壊してやれ。お前の世界から追放してやれ。過去の良いことや悪いことなんて、結局都合の良いことと悪いことがゴチャゴチャになった自分語りだ。
学校に、会社に行きたくないなら逃げろ。負けでいい。逃げたら負けなら一生敗者でいい。敗者でいいならもう何もくだらないものと、人とわざわざ関わってやる必要はない。お前が敗者として、毎日を過ごせればそれで良い。敗者なんて、弱者なんて、この世にごまんといる。周囲からの重圧も先の不安も金も将来も、死ぬことで解決しないでほしい。
逃げ場がないならひたすら歩け、ひたすら走れ、目的もなく、どこか遠くへ。どうせ死ぬなら死ぬほど遠くへ行ってみてほしい。そんな気力がなくても行け。携帯も名刺もスーツも制服も革靴も鞄も時計もなにもいらない。交通費だけ持って、行けるとこまで行ってみろ。聞いたこともない線路の終着駅の、遙か先まで行ってみろ。行っていい。誰も禁止していない。泣いたっていい。明日は学校も会社もサボって、恥と外聞を気にする自分もサボって、一生懸命続けてきた戦いもサボって、死ぬ前の旅をしよう。
聞いたこともない駅の見たこともない街の、静かな夜と確かに営まれている生活と、もし海なんてあれば最高かもしれない。
死ぬための旅が、いつのまにか全部どうでもよくなって、綺麗事も情けない自分もどうでもよくなって、生きてても死んでてもどうでもいいと思えたら、好きな方を選ぶといい。どうせどっちにしても何の意味もないから。
いい旅を。




