カゴ
ファリエットが高々と洗礼の儀を始めることを宣言すると、静かな輝きから、騒がしさを持った輝きに変わった。
今か今かと待っていた精霊たちが、誰がレヴィトに加護を与えるかを話し合い始めたのだ。
レヴィトの目にはその様子と話し声がうっすらと聞こえていた。
ファリエットは宣言を始めてから、洗礼の歌という、加護を与えるまでのタイムリミットを人間に違和感なく妖精たちに伝える歌を歌っていた。当の本人は自分が妖精たちのタイマーがわりにされているかはわかっていないだろう。
レヴィトは妖精たちの話し合いがエスカレートしていくのと比例して強くなっていく光から目を守るために、目を閉じた。だが相変わらず高い声と騒がしい音はレヴィトの耳に入っていた。
しばらく目を閉じていると、いつのまにか周りが暗く騒がしい音もなくなっていた。
ゆっくりとレヴィトは目を開けると、周りは光を吸い込みそうな暗い空間で目の前に、その暗闇で輝くようにレヴィトを図るように眺める青年がいた。
青年はレヴィトに
「ねぇ、キミ。精霊と人間と悪魔の違いってわかるかい?」
と尋ねてきた。レヴィトは
「精霊は人の信仰心や供物を力として生きていくもので、人は精霊の力を生み出すために作り出された存在。悪魔は人と精霊の関係を断とうとする存在です。」
と答えた。青年は口元に笑みを目には暗闇を浮かべて
「それは少し違う。」
と言った。レヴィとが不思議そうに首を傾げると青年はレヴィトの目を見て
「キミは本当の悪魔と人、妖精について知りたいかい?綺麗事のように飾られた神話や伝説、言い伝えの話よりもはっきりとした真実を。」
そう言ってきた。
(この人は一体なにを司っている精霊なんだ?人と精霊、そして悪魔の伝承の真実ってなんだ?僕に何で伝えようとしているんだろうか。)
レヴィトはその青年の目を見返して
「知りたい。今ある伝承以外に何かあるのならそれを見てみたい。」
と言った。青年は目に光を入れた笑みをして
「キミはこれから俺の薆蘭だ。」
「薆蘭とは何ですか?」
「んー、まぁ加護ってことだ。」
「そうなのですね。あのあなたの名前は?」
「俺か?俺は———だ。」
「すみません、うまく聞こえませんでした。なんて言いましたか?」
青年がレヴィトの聞き返しに答えようと口を開いた。
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「レヴィト、目を覚まして。レヴィト」
と泣き声が聞こえた。
レヴィトはゆっくりと目を開くとセルフォアの宝石のような瞳から涙が流れていた。
「母様?」
「レヴィト!よかった。目が覚めて、体は大丈夫?」
「はい何ともありません。」
ゆっくりと体を上に持ち上げるとファリエットが
「本当に申し訳ございません。結界はあらかじめ強力に張ったつもりだったのですが。」
「そんなのどうでもいいのです。今きたのはあいつらよね?」
「はい、そうでございます、セルフォア様」
「母様、あいつらとは誰のことなのですか?」
「、、、悪魔よ。」
その言葉はレヴィトの耳によく響いた。
「あ、悪魔だったのですか?」
レヴィトは戸惑いを隠せずに言うとセルフォアが
「えぇ、ごめんねレヴィト。私がいながらあなたを守れなくて。」
セルフォアが抱きつくとレヴィトは首に火傷のような熱さを感じた。
セルフォアはそれに気づきレヴィトから離れると、その白い首に赤黒い紋様が浮かび上がっていた。
次の話からいよいよ本編開始のつもりです。
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