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花染め屋の四季彩〜森に隠れ住む魔法使いは魔法の花の力で依頼を解決する〜  作者: 花房いちご
第三章 怠け者の翠風

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怠け者の翠風 七話

 カイはその日のうちに王都に帰った。

 すでに日が落ちていたが、冒険者ギルドは開いていた。カウンターにいたメンダーは、カイを見てすぐ駆け寄ってきた。


『うわ!いっぱい背負ってる!すげえ!見せて見せて!』


『うお!まとわりつくな!犬かお前は!』


『メンダー!落ち着け!……カイさんすみません。ここではなんですから、こちらにどうぞ』


 ミンディが疲れた顔で別室に案内してくれた。そして、メンダーとミンディはカイの成果に嬉しい悲鳴を上げる。

 当然だ。本命の【風切(ウェンディ)矢車菊(コーンフラワー)】二輪はもとより、ある程度傷んでいるが【雷光(サンダーライト)(フォックス)】一匹と【地震(アースシェイク)(ラビット)】数羽が手に入ったからだ。


『おっしゃー!カイさんをスカウトした俺たちの目が確か過ぎる!特別支給もらったあああ!』


『ありがとうございます!次は【迦楼羅(ガルーダ)】討伐ですよね!期待していますよ!』


 やたら親切というか、冒険者にさせたがっていたのは、優秀な人材をスカウトすることで恩恵があるかららしい。変な情でなくて安心した。


(まあ、次で最後だけどよ)


 とはいえ、カイは悪い気はしなかった。

 今日はゆっくり寝て、明日の昼過ぎ辺りに例の【花染(はなそ)め屋】のところに行こう。そう考えていた。


『だからよお。明日、お前らのどっちかが、その【静寂の森】の入り口まで案内するか、地図に書き込んで……お前ら、どうした?』


 メンダーとミンディは黄色い目を釣り上げた。双子なだけあって、同じ表情だと見分けがつかないなと、カイは現実逃避した。

 それくらい、二人は凄まじい形相でまくしたてた。


『は?まさかとおもうけど、その泥と草の汁と虫の死骸まみれの服と革鎧で行く気?正気?洗うか古着を買うかするよね?あと、風呂にも入るよね?前から臭くて汚かったけど酷すぎ。

 は?洗わないし買わないし入らない?何考えてんの?獣みたいな討伐の仕方したせいで、脳みそまで獣並みになったの?

 大体さあ、この三日間ろくな飯を食べてないだろ?それなのに、明日染魔したその脚で【迦楼羅(ガルーダ)】討伐に行くつもり?本当に何考えてんの?何も考えてないの?』


『一仕事終えたのですから休息を取るのは当然です。僕の見立てですが、丸三日は休んだ方がいいでしょう。

 は?今は平気?そう思っていても、後から疲労が出るのは良くあることですよ。すぐ近くに公衆浴場があるので、とりあえず入って下さい。着替えも用意しますから、その服と革鎧は洗濯屋に渡して下さい。

 は?風呂も着替えも洗濯も金がかかる?確かにタダじゃないですが、ケチるほどの値段でもないです。そもそも最低限の身嗜みと装備の手入れは基本でしょう?

 それでは、風呂から上がったらまたギルドに来てください。医療班の診察を受けてもらいます。ギルドに所属していれば診察はタダ、治療も格安なんですから絶対来てくださいよ』


『お……おう。わかった……』


(おしゃべりのメンダーはともかく、堅物のミンディまで面倒くせえことになった)


 カイは二人の勢いに押され、しっかり休まされることになった。丸一日ぐっすり寝てから、たっぷり食べる。食べながら思うのは、やはり【迦楼羅(ガルーダ)】と首飾りのことだった。


(【迦楼羅(ガルーダ)】を討伐したら、何かわかるかもしれねえ)


 カイの空っぽの心が、ほんの少し期待で波打った。

閲覧ありがとうございます。よろしければ、ブクマ、評価、いいね、感想、レビューなどお願いいたします。皆様の反応が励みになります。

三章完結まで毎日一度か二度更新予定です。

2023/08/19。二章「桃色は爛漫の恋をする」一話追加して全九話になりました。九話(最終話)は、三章につながるお話です。ぜひご一読ください。

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