65 何このボキャブラリーの少なさ
遅れてすいませんでした!
「アル、相手をしてやれ」
「あいよ」
どうやら相手をしてくれるのは怒りさん陣営の人の様だ。中背なのだが筋肉だるまよろしくムキムキの男性。筋肉だるまに隠れていてわからなかったけど腹筋すんごい割れてる。怒りさんは普通なのにね。
怒りさん、命令してたけどあの人より強いの?マジで?スキルのおかげなのかね。
どうでもいいけど、俺やるって言ってないよね。俺の意思無視っすか。そうですか。いや、やるつもりだったんだけどね、自分勝手すぎませんかね?
『あんたが言えた義理なの?それ』
パルは何を言っているんでしょうねー。こんな他人を思いやる気持ちいっぱいの俺が自己中?ありえないでしょう。
『・・・』
パルは無言の圧力を使った!
戦闘
道具
逃げる←
怖いので無視して逃げるで。
「先手は譲ってやるよ」
アルと言われた人は俺の前まで来て言った言葉がこちら。
「え?マジ?やったー!」
『ちょっと、そこは怒るべきところじゃないのかしら?』
確かにイラっとは来るんだけどさ、俺の方は余裕ないし。先手譲ってくれるんだったら素直に感謝しといたほうがいいかなって。
アルとの距離はおよそ十メートル。やろうと思えばすぐに近づけることのできる距離だが安易に近づくことはせず、俺は右手を前に突き出す。
「?」
詠唱をしない、かといって杖を持たないし武器も持たない。ならば格闘術でも使うのかと思えば、接近するようなことはせず、腕を前に出しただけ。その意味不な行動にアルだけでなく怒りさんやチゼル、その他もろもろの人が頭に「?」を浮かべているのが表情で容易にわかる。
その中で二人組の女の方が目を鋭くし、俺がこれから使うのが精霊魔法だと予測しているだろうが、それも違う。皆の視線が集まる中、俺はそれを発動させる。
“操作”
瞬間、右腕の紅色の糸が緩むと思うと先端がアルの足元をくぐり天井へと軌道を変える。天井にたどり着くとまた反射し、今度はあるの首元をかすめて地へ、手元を狙うように壁へ、背を打つように地へ、まるで生き物のように動く。
「っ――!くそがっ!」
そこまで来て何が起こったのか理解できなかったのか唖然とした様子から避けないとまずいと悪態をついて飛び上がろうとする。
「!?」
が、そんなのをみすみす逃すわけなく、糸がくっついて思うように動けない事に気づく。
そしてこの硬直の間も、さらに糸が反射を繰り返し、確実に拘束する。
「クソッ!・・・・・クソッ!」
何このボキャブラリーの少なさ。と言うのはどうでもいいが。
まだ自由に動く部位を使って必死に拘束を解こうとするが、焦ってもがけばもがくほど糸が体にくっつき、自由に動く事が出来る部位までだんだん減っていく。
糸を全て出し終わるころそこには身動き一つできないアルがいた。
勿論【糸】スキルに操作や粘着性を待たせる能力なんてない。糸を出す、それだけの能力。ではなぜこんなことになったのか?
タネは【血液支配】だ。
生成した糸に施した処理、それは血を染み込ませる事。血液の分子が糸の組織の中に入り込み、“操作”を使えば糸を巻き込んで動くような仕組みになっている。
粘着性の正体は“固化”。糸に触った時に触れたものと糸をくっつけるように固化を使う。つまりボンドみたいな役割をしているという事だ。触れた瞬間に固化を使って行かないといけないから制御が難しいけど。
そしてさらに、固化を使えば糸は鉄のように固くなり、そっとやそっとじゃ壊れないし動かす事も出来ない。普通に拘束したら動かせただろうが、その糸は壁床天井など絶対に動かす事の出来ないものばかりにくっついている。ので動かす事も出来ないわけだ。
女性の方を向けば、他の人達が驚愕をあらわにしている中で一人不機嫌そうな顔をしている。
「何か不満でも?」
「拘束しただけで攻撃はまだ。決定打にかける。武器を持っていないから【格闘術】を使うのだろうけどどうやって?そのまま手を出せばあなたも捕まる」
見ただけじゃそう思うのは仕方ないけど、俺のスキルでくっつかせているだけだから俺にくっつけずに攻撃することは簡単なんだな。
それにこの糸動かして絞殺とかもできるし。そんなことわからないわけではないだろうからやっぱり精霊魔法を暗に見せろと言っているという事か。
「その通りだ!動けなくしても自分が殴れないんじゃ意味ないからな!大方ボコられる前に動けなくして使えると思わせるつもりだったんだろうが残念だったな!」
先の話を聞いてアルが強がっているが残念ながら彼女は君に加勢したわけではなく、ダシに使っているだけなんだよな、哀れ。
それはいいとして、何で決めるかだよね?【毒弾】でいいでしょう。どうせ絞め殺そうとしたらしたでいちゃもんつけてくるだろうし、さっさと望みのもの見せて解放された方がいいし
『じゃ、パルお願いね』
『当ててもいいのかしら?』
『パルにしては珍しくボケたね。まだ人殺しになるつもりはないよ』
「さぁ、分かったらこれを解いて正々堂々――」
「穿ち、蝕め【毒弾】」
何か喋っていたアルに【毒弾】を遮るように打つ。勿論パルの言った通り当てることはせず、顔を横切るように放ったのだが驚いたのか黙ったので良しとしよう。
「俺、精霊魔術師でな」
シュパンッと毒弾が壁に当たる。流石に【アシュタロス】を使っていないから溶けているという事はないが十二分な威力だろう。
因みに糸に当たる直前“操作”で【毒弾】が通る隙間を作ったので糸自体が溶けていることもない。
「・・・・・ま、まいった」
勝利が認められたので拘束を解除。凄い息を出で戻ってくる糸を右腕に巻き付けていく。それにしても量が多い。足りない分は増やしていたからな。右腕に巻き付けれる分くらいでこんな事ができるわけがないからね、やりながらも【糸】と自傷【血液支配】で多くしてたんだよね同時作業は難しかった。
【異空間収納】がどれだけ便利か。結局、指や肩などいろんなところに巻き付けて終わった。
やったね、厨二どころか包帯人間になれたよ!
ふ・・・またこの世に現れてしまったか・・・。
だが、だが俺は・・・俺は・・・テストに勝てるのか?
・・・もうこれは宿命としか言いようがない、か。
よし、逝ってくるか。(真顔)
と言うわけでテスト週間に入ります。
なのでしばらく更新できないかもしれませんのでご了承ください。




