33 馬鹿だな
『パル』が光の粒子と化する。ソラの時と同じだ。
それに手をを伸ばすと俺の中に吸い込まれる。
中に俺ではない何かが入った感覚がする。これがパルだろう。
〈精霊『パル』との契約を確認〉
〈条件を満たしました。称号【多重契約者】を獲得しました〉
〈称号【多重契約者】の効果によりスペル【精霊魔法(毒)】を獲得しました〉
【多重契約者】?【精霊使い】じゃなくて?
取り敢えず見てみるか。
【多重契約者】
獲得条件 同種族二体との契約
効果 二体目以上の同種族との契約時、契約するときに獲得出来る称号と同じ効果を発揮する。
同じ称号は獲得できないからという事だろうね。
【精霊魔法(毒)】は【精霊魔法(空間)】と似たようなもんだろうから見るのは後ででいいか。
「悪いなエイリャ。横取りみたいな事して」
「全然。てゆうか私はあなた達が契約するものだと思っていたから」
それでニマニマしてたわけですか。
「エイリャ。20層までという話だったが、10層まででいいか?」
「いいけど、それまた何で?」
「あまり他の人には頼らない方がいいと思ってな。師匠もそれを望んでいるだろうし」
まさかお前らといるのは気分が落ちるから嫌だ、とは言えないからな。
「りょーかい。じゃ、11層からまたダータイトと二人っきりだね」
「・・・」
わー。ダーさんの顔が赤くなった。嬉しそうだな。
やっぱり俺らは俺ら、エイリャ達はエイリャ達で行動した方がいいかもな。
てかダーさん照れすぎ。二人って付き合ってんのかね。
あれで俺達を誘ったんだろ?だったらエイリャはその気はないのか。
てか気づいてんだろうか。もし気づいてないならエイリャどんだけ鈍いんだよ。
「よし。じゃ、10層まで頑張ろうか」
『ちょっと待ちなさい。何私を出さないままで行こうとしてるのよ』
パルから念話が来た。
『忘れてたから』
『忘れんの早すぎでしょ!あなたの脳みそはダチョウ並みなの?』
『馬鹿だな。わざとやってるに決まってんだろ』
『なお悪いじゃないの!』
まぁ悪ふざけはここまでにして、そろそろパルがキレそうだから外に出してやるか。【精霊召喚】
先程中に入ってきたものと魔力が外に出る感覚。
そして周りに光の粒子が漂い始める。
やがて一つの形にまとまり、パルになっていく。
「おひさ」
「おひさ、じゃない!誰のせいでこんなに出てくるのが遅くなったと思ってるの!」
「そこまで遅くないだろ。ほんの数分じゃねーか」
「それはあんたと早く会いた、ってな、何言わせようとしてるのよ!」
理不尽。
「自分から言おうとしたんじゃん」
「いい?これからは私をずっと外に出していなさい。分かった?」
無視ですか。
「ま、いいけど」
「ユウナギ君、ところで何で『パル』って名前にしたんだい?」
いや。そういうの聞かなくていいでしょ。
「あ、それは私も聞きたい」
「本人がそう言うなら仕方ないよね~」
えー。言わんとダメ?恥ずいんだけど。
「はいはい。分かりましたよ」
エイリャもパルも興味津々のようだ。唯一ダーさんだけはつまらなさそうにしているが。
「パルの髪が綺麗だったから」
「は、はぁ!?き、綺麗!?はっ、そ、そんなの当り前じゃないの!」
「紫って『パープル』って言うだろ。で、その頭と最後を取って『パル』。納得いきましたか?」
「ふーん。安直な名前ね。頭の足りない貴方らしいわね!」
それで毒吐いてるつもりですか?ニヤけながら言われても全然痛くないですよ。
「よし。じゃ行こう」
エイリャは早速興味を失っている。最初に聞いてきたのってあなたですよね。
そんなこんなでやってきました。5層への階段。
もうここまで来るとワクワクとか無くなってくるな。
5層からはFランクの魔物が出てくるので気を引き締める必要があるな。
とか思っていたんだけどメインはGランクで、群れの中にFランクが少し混ざるくらいだったので苦労しなかった。
5層で出て来たFランクはホブゴブリンと毒蛇。
どちらも戦ったことがあるため(俺は毒蛇とは戦っていないが)スムーズに倒す事が出来た。
【悪魔吸血】したかった。




