34 食欲が異常な件
現在、九層。
あれから順調に進んでここまで来た。
六層では紫トカゲの進化系Fランク大紫トカゲ。
七層では初めて見るGランクの下位毒蛙という長い名前の蛙、そしてその進化系のFランク毒蛙が出て来た。
八層では【毒刃】を持ったFランク、オークが出て来た。
オークの進化前はいないのかGランクの魔物はゴブリンや弱毒蛇など今まで出て来た奴しかいなかった。
その間吸血衝動にかられることはしばしばあったが、食料まで分けてもらうわけにはいかないからと言って魔物を半殺しにした状態で食っていたので何とかなった。
不味くて不味くて仕方なかったが、生きるためには仕方ない。
エイリャ達は思いっきり引いていたが。
だがその代わり【悪魔吸血】を使用する事ができたのは不幸中の幸いだ。
獲得できたのは大紫トカゲの【毒霧】から【毒霧吐息】。毒蛙の【毒舌】から【弱毒舌】。オークの【毒刃】から【弱毒刃】といった感じだ。
どうでもいいけど毒蛙の【毒舌】って毒舌とも読むよな。
案外パルとの相性も・・・。
と思ったらパルに睨まれた。いつの間にか念話使ってたのかな。
そして九層では毒蛇が弱毒蛇ではなく他のGランクの魔物を従えている。
それだけなら楽だが、さらにFランクの魔物を一、二匹連れている。
今対峙しているのは毒蛇、大紫トカゲ、毒蛙。
見事に毒だらけである。
それにそれぞれの進化前の魔物が各二匹ぐらいいる。
「怠い」
「そう言わないで。ユウナギ君は大紫トカゲ、ダータイトは毒蛙お願いね」
「分かった。【炎刃】」
多くてもFランクの魔物は三匹づつしか出てこないので各々一匹づつ撃破していくというのが今の戦法である。
ダーさんは【炎刃】でねじ伏せ、エイリャは短縮詠唱での連続攻撃での撃破。
俺?
俺は【拳術】でも地味な攻撃です。
なんで【拳術】なのか。エイリャ達がいるから【血液凝固】が使えないからです。
本当は【毒霧吐息】での広範囲攻撃がしたいのだけど、なにぶん劣化スキルだし相手毒持ってるしであまり意味ない。
それを考えると八層のオーク戦は楽しかった。
【毒霧吐息】を三発くらいお見舞いしてやると動きが鈍くなり、苦しみだす。
それを面白いと感じてしまうとは、俺も大分性格が曲がってきたな。
エイリャ達はそれを【精霊魔法】と勘違いしていたけど、詠唱無しに魔法使えるわけないじゃん。
無駄話はこれくらいにして俺は俺の仕事を片付けますか。
目の前にいるのは大紫トカゲ。
エイリャがこれを譲ってくれたのは、あの三匹の中で一番まともな味だったのがこいつだからだ。
勿論不味い事に変わりはないが、他の二匹に比べたらマシ。
それにこいつのスキルが一番使い易かった。
【弱毒刃】はお解りの通り俺の主武器には使えない。
【弱毒舌】は舌の長い毒蛙だからこそ使えたという理由がある。俺が使った場合【弱毒牙】の方が早い。
が、【毒霧吐息】は口から毒霧を放出するというスキルだ。媒体もいらないし、攻撃範囲も広い。
技量を上げるとしたらこっちの方が断然いい。
というわけで戦闘に入る。
まずは手始めに【側面移動】だろうスキルで壁にくっついている大紫トカゲに突進する。
「キイイィィィィ!」
突進してくる俺に気づいた「大紫トカゲが【毒霧】を使ってくる。
広範囲攻撃なので普通ならかわしきれない。だが俺には【側面固定】がある。
壁をも道として使えるため避けるのは案外容易い。
壁を走るついでに紫トカゲを踏み潰しておく。
直ぐに大紫トカゲのところまで行き、取り敢えず殴る。
怯んで一瞬固まったので腹と壁の間に素早く手を入れる。そして力を入れ、剥ぎ落とす。
「キイイィィィィ・・・!」
仰向けに倒れたので腹の上から乗り、牙を立てる。
【悪魔吸血】と【弱毒牙】を同時に発動させる。
いくら毒属性とはいえど体内に直接入れられたら無事では済まない。死にはしないが。
〈【悪魔吸血】並びに【超幸運】の使用を確認〉
〈スキルの獲得・・・成功しました〉
〈【毒霧】の劣化スキル【毒霧吐息】を獲得しました〉
〈【毒霧吐息】が【毒霧吐息】に統合されました〉
よし。成功。
発動もしたし、もう要らないので食べる。まだ生きてる?そんなの知るか。食ってるうちに死ぬ。
とでも言っているのか、ソラとパルが大紫トカゲに群がって食べ始める。
こいつらの食欲が異常な件。
パルはソラ程食べないが毒が好物らしい。
見るとエイリャもダーさんももう終わっていたらしい。
「お疲れ」
「ほんと疲れた」
「エイリャ、階段見つけたぞ」
「え?ほんと?」
ダーさんの言う通り前方に階段があった
次はいよいよボス戦か。




