夕16 グラマラスな変態お姉さん
セフィ戦が長い。そして今回めっちゃ少ないです。そしてセフィ戦はまだ終わりません。
〜セフィ・ウラノス目線〜
「【嵐槍】」
「ねぇねぇやろーよー」と言う吸血鬼に返答として中級風魔法を放つ。【衝撃風】と同じように乱発した。
【嵐槍】は【衝撃風】より貫通に特化した魔法。それらは狙い違わず足や腕なとの急所からはずらたところに着弾し、渦巻く嵐のような風で鱗をえぐっていく。
今思うとこれは吸血鬼なりの悪あがきだったのかも。負けたら情報を吐くと言えば情報が欲しいこちらからしたら、殺さないようにしようと思う。
その延命された時間の中で逃げようとするのかも。そんな都合のいいようにはさせないけど。両手両足をもぎ取って動けない状態にして拷問する。普通なら発狂ものだけど吸血鬼なんだし少しは耐えるだろうし。
「ん?」
吸血鬼が驚いたというより困惑しているといった表情をする。大方ご自慢の鱗がなすすべもなくえぐられているのが不思議なのでしょう。
「あぁ、ワタクシの所為なんだね」
吸血鬼が意味のわからないことを言って私に視線を向ける。その瞳からはハイライトが消え、顔は感情を写していない。
その間にも【嵐槍】が両手足の鱗をえぐっていく。穿たれた端から再生していっているけど手数が多いからか、【衝撃風】より貫通力に特化しているためか追いついてはいない。
このままなら吸血鬼を殺すことなく倒せるでしょう。せっかく情報をくれる気になったのに話せなくなったら意味がないもの。
「あー!止め止め!」
吸血鬼が吠えた。なんのことかわからず、呆気にとられたけど直ぐに【嵐槍】を撃つのを再開する。
吸血鬼はというといきなり自分の服を破り始めた。胸元が丸見えで、それは膨らんでいるように見えるし膨らんでいないようにも見える。
服が破れ終わり一枚のボロ布だけになった時そこに何かが浮き出始めた。
「よし、出来たっと」
その行動が謎のまま終わり、吸血鬼が声を上げる。因みに右手両足はもうないといっていいほどズタボロになっている。それなのにこんなに元気だなんて、吸血鬼の生命力というのは本当に厄介ね。
「そこのグラマラスな変態お姉さんや」
そして次に話しかけてきた。グラマナスは認めるけど誰が変態よ。
「こいつに知りたがってた情報書いたから」
さっき破いた服をひらひらと唯一無事な左手で振る。そこには赤い文字が書かれていた。書くものがないから服の切れ端と血を使ったらしい。
それを確認した時、吸血鬼から右腕が生えた。
否、それは腕なんかではなく化け物だった。黒ずんだ細い胴に、先端には裂け目の入った丸い顔面。その顔には目はなく、牙だけがずらりと並んでいる。
その化け物は左手にもたれていた布を喰らい、その後元の腕の形に変化した。
「ワタクシが教えるのはここまで」
意味がわからない。
その考えが読めたのか吸血鬼が補足する。
「ワタクシはもう何も教えない。変態さんが知りたい情報はワタクシの中。ふふっじゃあどうすればいいのカナ?」
さっきまでの無表情とは違い、今度は心底楽しそうに、諭すように言う。
「簡単だよね?ワタクシを殺して、解体なり何だりして奪えばいい!」
まるで演説のような大仰な仕草で、そんな狂ったことを言う。
「さあ、第2ラウンドでも始めまショウ?」
この吸血鬼が全て計算尽くであんなことを言っていたと私は思っていたけどそれは間違いだった。
自分が死ぬことを考えていない、というのも違う。私の方が強いことくらいわかっているはず。
情報を隠したいというわけでもない。それならわざわざ服に文字を書くようなことはしない。
逃げることを考えているわけでもない。そもそもそんなことを言わなくても逃げることなら試すはず。
なら何で?この吸血鬼にとって命っていうのはそんなに軽いものなの?どう考えても殺し合いそのものがしたいようにしか思えない。
濃血種ってこんなんだったったけ?原血種でもこんなに戦闘に狂っていなかった。
とにかくこいつは拙い。私はこの場でこいつを殺すことに決めた。
セフィ戦を先に全て考えてそのあとから区切りいいところに分けると少なくなってしまいました。




