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049 ゴーレム

小さな町を後にし、俺たちは次の目的地へと向かう道を進んでいた。


ちなみにファラは車酔いしたため、今はトーマスとガンツが乗る馬車の方へ避難している。


「HAHAHA! ランクルの走りの良さが分からないなんて、まだまだお子様だな!」


俺は陽気に笑いながらハンドルを握り、助手席のエルナと雑談を交わす。

だが、街道が細い峠道に差し掛かる手前まで来ると、前方で急に車が進まなくなった。大勢の商人や旅人、冒険者たちの渋滞ができている。


「Hmm? なんだ? 事故でもあったのか?」


俺がランクルを停車させると、後ろの馬車から降りてきたガンツが首を傾げながら歩いてきた。


「何があったんだ?」

「さあな。様子をみてくる」


ガンツが大剣を背負ったまま、人だかりの奥へと消えていく。


:『峠道で渋滞か?』

:『ファンタジー世界でも交通渋滞あるんだな lol』

Mama:『Ken、割り込みしちゃダメよ!』


しばらくすると、難しい顔をしたガンツが走って戻ってきた。


「どうやら、ゴーレムが蘇ったらしい」

「ゴーレム! 倒せないのか?」

「石の塊だぞ!? 剣も矢も通りやしねぇ。騎士団が来るまで通行止めだな」


トーマスも困り顔で、ため息をつく。


「やれやれ困りましたな。これでは今日の宿場町に着きませんぞ」


人だかりの隙間からのぞくと、峠道の真ん中に体長2メートルほどのゴツゴツした巨大な岩の塊――ゴーレムが不気味に立ちふさがっていた。


「ガンツ、あのゴーレムを倒してしまっても構わんのだろう?」


:『出たwwww』

:『フラグたてんな!』

:『それフラグや! lmao』

Mike:『Ken! また無茶する気か lol』


「『ガレージ・リンク!』」


光の輪から漆黒の超大型対戦車ライフル――『ケルベロス』が現れる。


「試し撃ちがしたかったんだよな」


巨大な口径、厳めしいマズルブレーキ。完全に戦車や装甲車を破壊するために作られた大物だ。


「2メートル程度のロックゴーレムか。ちょうどいい的だ」


俺は車から降りると、ポケットから防音用の耳栓を取り出して耳にねじ込み、さらに防音イヤーマフを装着した。


「みんな、耳ふさいで離れてくれ! リスナーも音量注意!」


俺がライフルを地面に設置すると、周囲のギャラリーや野次馬たちがザワつき始めた。


「おいおい、あの黒い鉄の棒は何だ?」

「耳をふさげって? 何が始まるんだ?」

「あいつ、あれでゴーレムを叩く気か!?」


不審がりながらも、俺の気迫に押された野次馬たちは、耳を手でふさいで離れる。

エルナやガンツたちも、嫌な予感がしたのか素直に距離を取った。

俺は岩のゴーレムの胸の中心――核と思われる赤い石にスコープの照準を合わせる。


「狙い撃つぜ!」


ズドンッ!!!!!!!!


大地が揺れるほどの超爆音が周囲に轟いた。

衝撃波で砂埃が一気に吹き飛び、野次馬たちが「ひぃっ!?」と悲鳴を上げて後ずさる。


対戦車ライフル『ケルベロス』から放たれた極大口径の超硬芯弾は、ロックゴーレムの胸板を易々と貫通。一瞬のタメの後、ロックゴーレムは内部から弾け飛ぶように木っ端微塵となって崩れ去った。


静寂。そして――


「「「うおおおおおおっ!?」」」

「なんだ今の音は!?」

「一撃で粉砕しやがった!」

「なんだ!? 魔法か?」


野次馬たちから割れんばかりの大歓声と口笛が巻き起こる。

それと同時に、俺のスマホの配信画面にはものすごい勢いでコメントが流れ始めた。


「ヒヤッホォォォウ! 最高だぜぇぇぇぇ!!」


:『音で鼓膜飛ぶかと思ったwww』

:『ゴーレムがただの砂利になって草』

:『対戦車ライフルは反則だろwww』


アナハイム・ディフェンス・システムズ【公式】:『ナイス! 我が社の『ケルベロス』の威力を異世界でも存分に見せつけてくれましたね! 最高のプロモーションです!』


米国国務省【公式】:『Mr.Ken! そのロックゴーレムのボディをガレージ・リンクで送ってください! 未知の魔法技術の研究に非常に重要な資料です! 報酬は、後ほど! どうか!』


「HAHAHA! OKガバメント! 報酬期待してるぜ! それとMrアナハイム、次までにサプレッサーを頼むぜ! 耳がイカれちまう。それにしても、すげぇ衝撃だぜ!」


俺は砕け散ったゴーレムと『ケルベロス』を、『ガレージ・リンク』で転送し、エルナ達と合流した。


「……なあエルナ、ゴーレムって特殊な素材でできてるのか?」


エルナは耳をさすりながら、呆れたように肩をすくめた。


「ただの岩よ。大昔の大魔法使いが作った魔法生物。今じゃ、どうやって作るのかも、さっぱり……あなたのお友達、どうするつもり?」

「さあな? でも、またプレゼントをくれるっていうんだからいいだろう!」


見事に峠道の障害を排除した俺たちは、再び次の町へ向けてランクルを発進させるのだった。




お読み頂きありがとうございます。

ブックマーク、★ボタン、できたらよろしくお願いします。


次話明日7:00に公開予定。

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