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プロローグ

 雪。冬を彩る白い華は、いまや自然だけのものではない。


 21世紀現在、人工的につくられた雪が、スキー場、研究施設、映画撮影、室内遊技場、さらには都市のイベントにまで使われている。


 この「人工雪」を、昭和初期に世界で初めて生み出そうとした男がいた。

 まだ冷凍技術も十分とは言えず、気象学も発展途上だった時代。

「自然にできるものなら、人間にもつくれるはずだ」

 そう信じ、誰も成功したことのない領域へ足を踏み出した科学者。


 その名は中谷なかや宇吉郎うきちろう

 雪の科学者であり、詩人でも随筆家でもあった男である。


 彼が雪に魅せられた理由は、一体なんであったのだろうか。

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