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城塞都市編 第十四撃 激突

なんやかんやで30話です。

最近、誤字脱字チェックしてません

読みづらかったら申し訳ないですスミマセン

「・・・見えたぞ」

拓真たくまは、スモルガー・マークⅡの望遠モニターに映った映像を見て呟いた

肉眼ではまだハッキリとは見えないが、城塞都市”テンペロスト”の城門へと続く道を魔族軍の大軍団が移動して来ている

「サリオ!時間にして後20分位だ。全員に最終通達を!」

スモルガー・マークⅡのコックピットから外に聞こえるスピーカーを通して下に見える騎士団団長サリオに伝える。頷いたサリオは部下達に檄を飛ばす

「聞いた通りだ。後20分で敵魔族軍と開戦だ。全員、気を引き締めろ!」

騎士団員達は、おぉ、と掛け声を上げ各々装備の最終チェックをする

「さぁて・・・初戦はコイツで幕開けにしようかね」

拓真はスモルガー・マークⅡの操縦桿を握り直す。新しく新生となったマークⅡのロボット・モードのコックピット内は旧型に比べると格段に広くなっている。二人乗りも可能なのだが、今回はキラッセは乗せてない。一緒に行きたいと最後まで駄々をこねていたが、最終的に城塞に篭らせる形で強引に置いて来たのである

「何が起こるかわからんしなぁ・・・危険は少ない方がいい」

そう呟いた拓真だが、心配事が無い訳ではなかった。ペッスムの存在である。初めて会った時から良い印象が無かったのだが、あまりにテンプレすぎて非常に気になる。そこでこっそりと、騎士団団長のサリオに相談して”炎の3騎士”の一人、”煉獄のソーネ”をお目付け役としてキラッセと同行してもらうように頼んである

「この決戦の雰囲気の中、ゴタゴタに乗じて絶対何かアクションを起こす筈」

拓真の中ではペッスムは最早”クロ”認定である

「取り越し苦労なら、それはそれでいいのさ」

独り言を呟くと、モニターの距離表示を見る。距離にしておよそ1キロ近く。進軍スピードが速めなので、もしかしたら20分かからないかもしれない。そんな事を考えながら正面を見据える。いきなり打って出るか、様子を見るか。どちらにせよ、集落”フロスト”に飛んでいったホークアイが、ミドルオーと共に参戦する予定時刻まで、持ちこたえられれば良い。そう計算する拓真であった



ぎりぎり、本当にぎりぎりのラインで魔族軍は停止した。遠隔武器が届くか届かないか、という位置で

見ると、おどろおどろしいモンスター郡に、見た事もない巨躯を誇るトカゲやライオンのようなデカブツも混じって見える。”キマイラ”とか”ヒュドラ”とか呼ばれる類であろうと想像する

「・・・マークⅡのファイナル・バズーカなら当たるが・・・範囲武器ではないからな」

距離的にも遠いので、当たっても致命的な損害を与えるまではいかないな、と拓真は考える

ざざざっ

魔族軍の中央が開かれていき、道が出来る。その中央をずんすんと数名の魔族が進み出てきた

「・・・魔族軍四天王が一人、ユウゼスである!」

巨躯を誇る、両手斧を背中に背負った人物が吼える。距離があるのに良く通る声だ

「脆弱な人族よ、これより我らの一斉攻撃を受けるがよい!命乞いは許さぬ!その一片の肉片たりともこの世には残さぬ!絶望に打ちひしがれて死ぬが良い!」

思い切りヒドイ事をおっしゃってる。拓真がマークⅡのコックピット内でドン引きしていると

「攻撃開始ィィ!!」

ぐぉぉあああああああああああおおおおおおお

物凄い叫び声と共に、魔族軍が動き出す。城門正面に展開した魔族軍のモンスターの群れは、堰を切った鉄砲水のように、城塞都市へなだれ込んで来た

「うっへ・・・こいつぁ・・・あんまり見たくねぇ光景だな」

ぞろぞろと緑の緑地帯を侵食する様に迫り来る褐色の群れ。目に映る光景が余りにも現実離れしていて、何か映画のワンシーンでも見ている気分にさせる

「怯むな!弓矢隊、投石部隊、うてぇっ!!」

サリオが自軍の騎士団に号令をかける。城塞から負けじと物凄い数の弓矢と投石が放たれる

迫って来ていた褐色の群れに、弓矢と投石が投げ込まれ、当たった部分の群れが一瞬止まるが、すぐに後続に飲み込まれ、波となって押し寄せる

「うてぇっ!!」

その動きに負けじとサリオも号令をかけ続ける

「うっし、行くか」

拓真も遠隔武器で怯まない敵軍を見ていたが、一定の距離を突破された事で城塞の塀の上からジャンプ一番、外に躍り出る

「サリオ、マークⅡで打って出る。漏れて来たヤツは任せる」

スピーカーでそう告げると拓真は猛ダッシュで敵軍に突っ込んでいく

「数は減らさないとね!」

ロボット・モードのマークⅡの脚部にはホバー機能が付いており、地面をすべるように移動する事が可能だ。そのままの勢いで敵軍に突っ込んでいくと、手足をぶん回しながら蹴散らしていく。丁度、エアーホッケーのコマが、林立するピンを薙ぎ倒していく様相だ

ゲームの無双シリーズを地で行く拓真であったが、突然動きを止められる

「っとぉ、デカブツに当たっちまったか」

側面からこれは”ヒュドラ”と呼ばれるトカゲの親玉みたいなヤツと、正面からは”キマイラ”と呼ばれるライオンの頭を持った獣の、挟み撃ちだ

ぎぎぎぎ・・・ががががが

マークⅡの間接部が、悲鳴を上げる程の力で押さえ付けられていたが、正面に回った”キマイラ”が口を開いて、火球を口腔内に漲らせた瞬間、マークⅡの肩口から”ファイナル・バズーカ”が火を噴いた

ぼこおおおおおおおお

”キマイラ”は自身の火球もろとも、頭部を吹き飛ばされ、吹っ飛んでいく。その様子をみた”ヒュドラ”が動きを止めた瞬間、押さえ付けていたマークⅡの腕が回転を始め、ドリルの先端と化した腕に頭部を削り飛ばされる

「まだまだぁ!」

拓真がコックピット内で叫ぶと、吹っ飛んでいった”キマイラ”とは別の固体の”キマイラ”と”ドラゴン”が群れで迫って来るのが見える

「へ、来るわ来るわ」

拓真が操縦桿のハンドルに付いていたスイッチを操作すると、マークⅡの両腕が回転を始める

「ダブルアーム・ドリル、なんつって!」

そう言いつつ、ドリルと化した両手を前面に突き出して、巨躯の群れに突進して行く



拓真が突進していった事で魔族軍の注意がそっちに向き、巨躯を誇る大物のモンスター群はそちらに集中し始める。その間に、小物のモンスター群は城塞に向けて進軍して行く

「うてぇっ!!」

サリオの指示で遠隔武器を使い、城塞の壁面上から下に向けて攻撃を仕掛ける

その内の何匹かが壁面をよじ登り、或いは城門の扉に攻撃を仕掛け破壊を試みている

「油を落とし、火を着けろ!」

側近の人物が部下に命じ、火責めを敢行する

乱戦模様を呈してきた城塞都市での攻防は、すでに開戦から1時間近くが経過しようとしていた



ばぎん

異様な音がして、スモルガー・マークⅡの左腕がへし折れる

「ちぃ、さすがにこの数と格闘乱打戦は、無理が祟ったか」

拓真が悪態をつくと、その周りには死屍累々の巨躯のモンスター群を乗り越えて、新たな大型モンスター群が迫り来る。巨大な牛を思わせるそのモンスターは”ベヒモス”等と称される化け物だ

「か~~、色々いるねぇ」

へし折れた左腕をぶら下げながら、拓真は残る右腕を構える。肩口のファイナル・バズーカは残弾

ゼロだ

「そろそろ、来てくれないと・・・ヤバイんスが・・・」

迎えにやったホークアイが無事に着いてれば、”第二のシモベ”ミドルオーの飛行形態ならもう着いてもいい時間である

「なんか、あったのかな・・・」

予想より遅い時間になり、拓真も焦りを隠しきれない

ごぉぉぉぉぉぉ

エンジン音が微かに聞こえ、続いて

ぶぃーん ぱんぱんぱん たたたたたたたた

ガトリング速射砲の音が鳴り響き、モンスター群が消し飛んでいく

「やっと来たか!おせぇんだって!」

「カカカ・・・間に合ったようだなタクマよ」

「タクマッ!無事か!?」

「タクマさん!?」

ミドルオーからの拡声器からホークアイの声と、集落”フロスト”の守備隊長の”カイム”の声と・・・俺の”元ナンバー1”で今はカイムの奥さんである”ケリス”の声だな、うん

「雑魚の掃討を頼む!城塞にかなり引っ付いてるんだ!」

「了解した、直ぐ戻るから頑張ってくれ!」

おーおー、カイムさん、久々の登場だからって張り切らなくっても・・・しかも嫁さん付きで・・・

拓真は心の中で悪態を着きながらも

「よっし、これで戦況はひっくり返る、だ。いくぜ!」

そう言うや否や、再びスモルガー・マークⅡを敵陣に突っ込ませるのであった



「魔族・・・ラーセルスとか言ったな」

魔族四天王の一人、ラーセルスが投獄されている城塞の地下にある牢屋、そこに訪ねてきた人物が声をかける

「・・・・・・・・・・」

無言で身体を起こし、声のする方向に目を向けるラーセルス

「どうだ、わしと取引せんか・・・?」

そういう人物は、ペッスム。城主”ガデム”に許可を貰い、ラーセルスに会いに来たのである

「・・・・・・聞こうか」

短くそう言うラーセルスの双眼がぎらぎらと輝くのであった




「やっぱり、タクマと一緒にマークⅡに乗ればよかったなー」

キラッセはぶつぶつ言いながら、城塞都市の中にある城の窓から見える戦場の騒ぎを見つめる

「仕方ありませんよ、キラッセ。タクマなりの優しさなのですから」

そう言いながら慰めるのは”炎の3騎士”の一人、”煉獄のソーネ”である。サリオから間接的に頼まれ、キラッセの警護についていたのである

「私だって、本音を言えば戦場で戦いたかったんですよ・・・ですがそこは、ぐっと!」

集落”ヘローン”に同行していた縁から、今回の警護を頼まれたソーネであったが、ヘローンでの戦いを見る限りは、かなりの戦闘好きである。今回の決戦にじくじたる思いはありそうだ

「うーん、わかるけどよぉ~~~」

キラッセはまだ納得し切れてない様子だ

「此処に居たか・・・」

背後から突然聞こえて来た凄みのある声に、ギクリとなるキラッセとソーネ。聞き覚えのある声にキラッセは心拍数が跳ね上がる。背後を取られたソーネは不覚、と短く口走る

「覚えているぞ。そこの小僧は”転生者”タクマと一緒に居たヤツだな」

振り返ったそこには、居るはずの無い人物が立っている

投獄されていたはずの、魔族軍四天王のラーセルス

その背後にはペッスムと彼の子飼いの衛兵達

「ペッスム殿!?これは一体なんの真似です!」

尋常ならざる雰囲気を察知し、ソーネは背後にキラッセを庇い、腰の剣に手をかける

「ソーネ。これは超政治的な駆け引きなのだよ。貴殿には大人しくしていて貰おう」

ペッスムは鷹揚に答えると、部下に顎でくい、と指示を出す。バラバラと二人を取り囲むように動く衛兵達

「くっ・・・・!」

険しい表情のソーネ。背後のキラッセも険しい表情だ

「タクマ・・・・」

胸の前でぎゅう、と両手を握り締めたキラッセは戦場で戦う拓真を思う

「くっくっく・・・アハハハハ・・・・」

その様子を見たラーセルスは、こみ上げる笑いを隠そうともせずに声をあげるのだった

「久しぶりだな、タクマ。集落フロストの守備隊長を務めるカイムだ。要請を受けて魔族軍との決戦に、タクマから預かったミドルオーで参戦した俺達だが、思わぬ伏兵が現れる。貴様、何故自由に動けるんだ!次回、城塞都市編 第十五撃 交渉 で見極めよう! タクマ、油断するなよ!相手は四天王だ!」

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