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冤罪遺伝学  作者: 早雲
第三幕
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13. リフレイン

『死ななきゃ』


 マキタの声が聞こえた。


「多分、あの時、マキタの近くに誰かがいたんだ」


 俺はつぶやいた。そして思い出す。


『その時、顔が腫れてた』

『腫れてた?』

『殴られた跡。多分、リンチ』


 ケバブ屋の店主の目撃情報から、マキタが何かしらを強要されているイメージが浮かぶ。そのイメージが自殺を強要された仮説と合致している気がする。そうか、あの時マキタは俺と違う人間と喋っていたのか。


 何がともあれすることは今一つだ。ナツの声が聞こえた。


「早く逃げよう」


 ここには盗聴器が仕掛けられている。少なくともその可能性がある。俺は事務所のデスクの引き出しを開けて、ペンとメモ帳代わりの領収書用紙を取り出した。ペンはまだしも、領収書用紙は自営業をしているのにもかかわらず、使ったことがない。


 ナツが訝し気な表情をするのに構わず、領収書用紙にメモを書く。カーボンプリントになっているので裏にメモが移ってしまう。これは処分しなければ。


 俺はナツにメモを見せた。ナツは頷く。すぐに行動する必要がある。


 メモには枠線をはみ出した汚い俺の字でこう書いた。


『盗聴器がある。声に出すな。今から真崎と合流してケリをつける』

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