その四
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独り居てつらく悲しい時もあるでしょう。しかし独り居て何にも邪魔されずに深く想う事が出来る時もあるでしょう。そんな風に、或る方向にだけ目を向けるのではなくその反対の方向にも注意を払って下さい。そうでないと人は本当の意味での冷静さを得られないからです。現在の自分の状況を捨てる事が良くないのではなく、その現在の自分の状況の忌み避けるべき点のみに着目し、それが自分を支えてくれているという重要な事実に気付かないまま捨てるのが良くないのです。これを避ける為には見える目が必要です。多く苦しんだ自分の人生に拠って具わった、見える目が。
重要なもの程一度捨てると二度と自分のところに戻って来る事はありません。加えて、それを捨てたのは他の誰でもなく明白に自分自身であるという自覚が心を退きません。私はこの種の後悔を積みたくないのです。私の人生を行き詰まらせるものがあるならそれは間違いなく後悔であり、斯ういう取り返しのつかない、その後ずっと私を責め続ける後悔なのだと思っています。
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テレビの新築の家のCМには幸福そうな家族が出てきますね。ああいう幸せそうな家庭になる為には、生活とそれから遊ぶ為に必要な余剰資金を確保出来ている必要があるでしょうか。仕事に追われず、普通の時間帯にお父さんが家に帰れれば実現するでしょうか。家族の誰かが深刻な病気になると、あれは最早無理なのでしょうか。
私はその何れの事情も幸福な家庭の営みとは関係の無いものであると思います。幸せな家庭の為の絶対条件とは、必ず家族の誰かが家族の他の誰かを本気で心配する事、家族が互いを信じている事、それだけであると思います。それがあれば、ああいう綺麗な新築の住居は得られませんがそれでも十分幸せな家族になる事が出来ると信じます。大切な事の根本を見据えて下さい。他の大切なものを生み出す、根源の大切なものを把握して下さい。それが大人というものでしょう。大人はそれを責務義務として負うているのではありませんか。しっかりしましょう。
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観光客向けに、でしょうか。訪れる町は建物も設備も皆綺麗です。異国情緒ではありませんが、昔の日本の村らしいところを探しているのに見付かりません。それでは町と違いません。小規模な町、それだけです。
変わらない昔に出逢いたいのです。だから旅に出るのに。でも、そういう土地を選んでいない自分が、それが見えていない自分が悪い、それだけなのかも知れませんね。自分の外の何かに向ける不満と自分自身に向ける不満、この区別をちゃんとつけましょう。
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愚か者は大抵責任を負おうとはしません。絶対に逃れる事の出来ない責任に限って『潔く責任を負う』姿勢を示しますが、逃れられる可能性が仄見えている時には見苦しく必死に逃れようとします。
別にまだ責任だ何だと誰からも言われていないのに、そんな声は何処からもあがっていないのに、もう早速『私の責任だ』とて罰を受けようとする。そういうものを、そういう人を、『信頼出来る』と謂うのです。人の何を視ていたら良いのか、よく考えて下さい。
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