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奇跡のイケボ君  作者: 来留美


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9/9

9、やっぱりアンドウ君の声が好きです

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「お世辞をありがとうございます」

「どうして敬語なの?」


 私は、可愛いなんてリノちゃんにしか言われたことがないから、返答に困って敬語になってしまった。

 そんな私を見て彼はクスクスと笑う。


「本当に可愛いよ」

「それは大福(だいふく)に似ているからですよ」

大福(だいふく)? どういう意味? それにまだ敬語を遣うの?」


 彼は笑い過ぎて涙まで出てるよ。


大福(だいふく)は、リノちゃんの飼っているウサギさんです」

「これ以上は敬語はやめてよ。話の内容が入ってこないからさ」


 彼は笑いながら言う。

 そんなに面白いの?


「リノちゃんが言うの。私は大福(だいふく)にそっくりだって。まん丸でぷにぷにしてるって」

「それを、そのままの意味で受け取るのがいけないんだよ」

「だって私は、まん丸でぷにぷにしてるもん。リノちゃんみたいにスタイルも良くないもん」

「まん丸なのは目がまん丸だし、丸顔だし、尖ってなくてまん丸でふんわりしている雰囲気なんだよ」

「ぷにぷには?」

「頬もぷにぷにしていそうだし、実際に触れてぷにぷにしているって思っているんだよ」


 私は自分の頬をつまむ。

 ぷにぷになのかな?


「いつか、その大福(だいふく)を見てみたいな」

「リノちゃんに言ってみるよ。本当に大福(だいふく)は可愛いのよ。私の掌の上に乗ってくるんだからね」

「そうなんだ。カレンに似ているなら可愛いんだろうね」


 彼が私を可愛いと言う言葉には、どんな意味があるんだろう?

 その可愛いは、大福(だいふく)のように動物に対しての可愛いなの?


 そんなにニコニコしているのは、私が動物のように可愛いからだよね?

 私も大福(だいふく)を見てるとニコニコしちゃうもん。


「やっぱりアンドウ君は、今のアンドウ君の(ほう)がクラスの皆も話しやすいと思うよ」

「今の僕?」

「うん。だって教室のアンドウ君は喋らないし、大人しいし、気配を消してるよね?」


 そうよ。

 彼は、いつも気配を消している感じがするの。

 いつの間にか隣の席に座っていたり、私だって隣の席じゃなかったら、未だに彼に気付いていなかったかもしれないし。


 それほど彼は気配を消すのが上手だった。

 でも、これからは気配を消すことをしないでほしい。


 彼の声も、柔らかい雰囲気も、全てをクラスの皆に気付いてほしい。

 彼の良い所を皆に知ってほしい。


「僕は、この声を聴かれるのが嫌なんだよ」

「どうして? こんなに魅力的な声を皆に聴かせないなんて、もったいないよ」

「僕はカレンには普通に話せるけど、他のクラスメイト達には、まだ声を聴かせるのは怖いんだよ」

「私はアンドウ君の声が好きなんだけどなぁ」

「僕はカレンに、そう言ってもらえるだけでいいんだよ」


 私だけじゃなくて皆に“声が好き”だと言ってもらえたら、もっと嬉しいはずだよ。

 それに皆の彼への印象が変わると思うんだけどな?


「よくないよ。せっかく同じクラスになったんだよ? 隣の席になって仲良くなったら皆にもアンドウ君を知ってほしくなったのよ」

「僕は静かに、このまま学生生活を過ごしたいんだ」

「そんなの私が嫌なのよ。学生生活なんて楽しむ以外にないわよ」

「そうかもしれないけど僕には難しいんだよ」


 難しい?

 簡単よ。

 ただ好きなことをすればいいのに。


『ガチャ』


 いきなりドアが開いた。

 私は、そのドアを開けた人を見て驚く。

 だって、凄くイケメンなの。


 ハーフっぽい顔立ちの、お肌は白くて綺麗。

 身長も高いし、王子様にしか見えない。


「お~い、連絡してるだろう?」


 いきなりドアを開けた王子様はアンドウ君に言う。

 アンドウ君はスマホを見てから“ごめん”と謝っていた。


「カレン、今から仕事だから今日は家まで送るよ」

「えっ、あっ、バイトなの? ここのカラオケ屋さんも忙しいんだね」


「えっ」


 イケメン王子様が驚きながら私を見ている。


「そうなんだよ。なあ、兄さん」


 アンドウ君はイケメン王子様に向かって言う。


「あっ、うん。そうなんだよ。せっかく来てくれたのに、ごめんね」

「いいえ。アンドウ君のことを、たくさん知れたので良かったです」

「コイツに同じ年の話し相手ができることは良いことなんだけどね、、、」


 アンドウ君のお兄さんは困った顔をしながら言った。

 私、迷惑だったかな?

 もしかしてバイトの邪魔をしちゃったの?


「あっ、アンドウ君。私、帰るね。お邪魔だったよね」

「えっ、いやっ、邪魔だったらココに連れてきてないよ。本当に楽しかったよ」


 優しいアンドウ君だから気を遣ってくれたんだよね?


「私も楽しかったよ。じゃあまた学校でね」


 私は部屋から出ようと立ち上がり、アンドウ君のお兄さんの隣を通り過ぎる。

 でもアンドウ君のお兄さんが私の腕を掴む。


「待ってよ。家まで送るよ」


 アンドウ君のお兄さんは車の鍵を私に見せながら言う。


「カレン。どうせ、ついでだからさ送るよ」

「お前が運転するような言い(かた)をするなよな」


 アンドウ君が言った後、ムスッとした顔をしながらアンドウ君のお兄さんが言った。


「それでは、お願いします」


 私はアンドウ君のお兄さんの車に乗ったけど大きな車に驚いた。

 中は広くて、それなのに隣にアンドウ君が座り、学校の席の距離より近くてドキドキした。


 アンドウ君の声も近くで聴けて耳が幸せだった。

 ツバサ君の声をイヤホンで聴いている感覚になる。


 やっぱり私はアンドウ君の声が大好きよ。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

~次話予告~

カレンはアンドウ君の声を皆にも聴かせたくてアンドウ君を喋らせようとする。

そんなカレンに対してクラスメイトの陰口が聞こえる。

それを聞いていたアンドウ君は怒って教室を出ていってしまう。

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