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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 翡翠


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第62話 なぜこうなった



 アストレア聖域領、大樹の下。


 珍しく、セリアがいない。


 代わりに。


 カイル、レオネル、ノエル、アルクスが集まっていた。


 少し離れて、エル・セラフィアとアウレリオンがいる。


 静かな空気。


「……なあ」


 カイルが口を開く。


「何だ」


 レオネルが答える。


「結局」


 一拍。


「なんでこうなった」


 単純な問い。


 だが。


 誰もすぐには答えない。


「……」


 沈黙。


 そして。


「古竜だ」


 レオネルが言う。


「……ああ」


 カイルが頷く。


「最初はそれだな」


「討伐依頼だった」


「だが」


 一拍。


「殺さなかった」


「……」


 カイルが腕を組む。


「そこからおかしい」


「はい」


 ノエルが頷く。


「意思決定が通常と異なります」


「……通常なら」


 アルクスが言う。


「排除だ」


「だが違った」


「共存した」


 短く整理される。


「……それが成功した」


 カイルが言う。


「はい」


 ノエルが即答する。


「完全に」


「……」


 一瞬の沈黙。


「成功したルールは」


 アルクスが続ける。


「基準になる」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「真似するからな」


「はい」


「再現性があると判断されます」


「……」


 カイルが小さく言う。


「じゃあ」


 一拍。


「全員がそれに寄った?」


「はい」


 ノエルが答える。


「神格存在も含めて」


「……」


 カイルが顔をしかめる。


「神もかよ」


「神は整合性で動きます」


 一拍。


「矛盾しない方を選びます」


「……」


 エル・セラフィアが小さく言う。


「否定できなかった」


「……」


 アウレリオンも続ける。


「定義として矛盾がなかった」


「……」


 カイルが天を仰ぐ。


「……終わってるな」


「はい」


 ノエルが頷く。


「ここで確定しています」


「……」


 アルクスが言う。


「次は人だ」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「集まってきた」


「理由は」


「単純だ」


 一拍。


「安全で」


「利益がある」


「……」


 カイルが苦笑する。


「そりゃ来るな」


「はい」


 ノエルが言う。


「合理的です」


「……」


 アルクスが続ける。


「そして」


 一拍。


「統治が不要になった」


「……」


 カイルが眉をひそめる。


「どういうことだ」


「命令がいらない」


「全員が同じ方向を向く」


「……」


 レオネルが小さく言う。


「セリア基準か」


「そうだ」


 アルクスが頷く。


「唯一の評価軸だ」


「……」


 沈黙が落ちる。


「……つまり」


 カイルが言う。


「全部」


 一拍。


「セリアか」


「違う」


 アルクスが即座に否定する。


「……は?」


「セリアが作ったわけではない」


 一拍。


「最も合理的だっただけだ」


「……」


 ノエルが頷く。


「はい」


「全ての選択が最適だった」


「結果」


 一拍。


「収束しています」


「……」


 カイルがしばらく黙る。


 そして。


「……最適解に全員が乗った結果か」


「はい」


 ノエルが答える。


「その通りです」


「……」


 レオネルが小さく笑う。


「……厄介だな」


「何がだ」


「間違ってない」


 一拍。


「全部正しい」


「……」


 誰も否定しない。


 できない。


「……なあ」


 カイルが最後に言う。


「何だ」


「これ、止まるか?」


 沈黙。


 そして。


「……止まらない」


 アルクスが答える。


「理由は」


 一拍。


「まだ最適だからだ」


 静かな結論。


 誰も言葉を返さない。


 その代わりに。


 全員が同じ方向を見る。


 大樹の方へ。


 ゆっくりと。


 確実に。


 枝が伸びていた。

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